僕の工房「木のモノ作り工房」では、木のおもちゃを作っています。
でも、僕が工房を立ち上げた当初って、別に「木のおもちゃを作りたい!!」って思いからじゃあなかったんです。
木の小物作りは好きだけど、なかなか商売として難しいし…それに、僕が木工を勉強し技術を覚えたのは、もともと「自分のデザインを自分で形にできるような職人になりたい!!」って思ったから。そう、もともとは僕は「家具工房」がやりたかったんです。
それが、いま、何でおもちゃ作りを始めたか…といいますと…
2006年の春、僕はそれまで勤めていた引越し屋をやめて自分の工房を立ち上げました。
こうやって言うと立派みたいだけど、僕の工房は本当にちっぽけで、おんぼろちんな貸し倉庫。大屋さんとご近所の厚意で、好きに手直ししていいよ〜というお許しの元、活動が始まりました。
ちっぽけな作業場だから、当初は大物(家具)を作るのはあきらめて、小物やアクセサリーなんかを作っていました。この時期はホントにいろんなコトに手を出していて…今思うと(今もだけど)本当に迷い迷いの時期でしたね…
そんな、こんなで、仕事もあまり(全然と言ったほうが適切)うまく行かず先行きが不透明なまま最初の1年が過ぎました。そんな気持ちばかりが焦っていたとき、僕の工房に転機が来ました。初めての家具製作です。
久々の家具製作、そして、ちっぽけ工房での初の大物。
やればできるものですね。今まで、トライもせずにあきらめていましたが、色々工夫しながら進めて、僕のこのちっぽけ工房でも家具が作れる!それに気付いたんです。
それからは、ベビーチェアや本棚、色々作らせてもらいました。
10台の備品棚を同時に作った時は、足の踏み場も有りませんでしたけど、無理も承知のなんのその。小さいなら小さいなり、やれば十分いろんなコトができたんです。
こうして、少しずつですがモノ作りの仕事、ウチの工房の仕事のスタイル「お客様の要望に応えて作る町の木工房」というのができあがってきたんです。
でもね…やっぱしまだ問題はあったんです…
そう、やはりまだ絶対的に仕事が少ない…
僕のこの仕事のスタイルは、基本的に「待ち」のスタイルですから、声がかからなければ仕事が無いわけです。1つのアイテムを作り終えたとき、次に声がかかるまで何をすればいい…?当時はそんな状態だったんです。
何か自分の工房独自のアイテムが欲しい!
この透き間の時間に、独自の仕事を作らなければ!
そう考えたんです。
現在はこの工房独自のアイテムに「木のおもちゃ」があるわけですが、これもいきなりある日「よし、おもちゃだぁ!」って決まったわけじゃありません。そこまでいくのには、けっこう段階を踏みました。サッカーの得点シーンだってそうでしょ?まず前線にボールをパスして、それを次はセンタリング、そしてそれをシュート…!得点までには、そこまでのプロセスがあるわけでして…
僕がオリジナルでおもちゃを初めて作ったのは、おもちゃ作りを本格的に始める1年以上前。まだ工房立ち上げたばかりの頃でした。「オリジナル」なんて言葉の響きはいいけど、思いつきで1個だけ作った(今思うと)適当な木のおもちゃです。
僕がお世話になっている人の出産祝いにベビーラトルを作ったんです。
これ、先方には大変喜んでもらえたんですが今改めて見るとデザイン的にもあまり洗練されていませんし、とてもまだ「商品レベル」として見れたモノではありませんでした。
木のモノ作りってこういう時に得ですね。素朴な木の印象が、デザイン的な稚拙さをごまかしてくれますから…まあ、これは本題から外れた事ですが
それから、半年…もう、自分が木のおもちゃを作った事なんか忘れたころ…ボランティアで参加した野外活動で、人に紹介された時、こんなふうに紹介されたんです。
「彼はね、木でおもちゃを作る仕事をしてるの。とってもあったか〜いおもちゃを作ってるんだよ!」
実際、その紹介をされた時、僕はまだ木のおもちゃを作り始めていませんし、この紹介はちょっと間違っているんですが…この紹介の時の言葉が、あとの方までずーっとすごい心に残ったんです。(この人は、僕が作ったベビーラトルを見たことがあった人だったんです)
「そっか…自分が作ったあのおもちゃ、あったかいんだ…」
それから家に帰って半年前に作ったベビーラトルの写真、そして図面を久々に引っ張り出してあらためて見てみたんです。
長い時間をおいて、あらためて見てみると当時は気付かなかった設計の荒さが目に付くものです。このとき、僕は別に木のおもちゃを作る気はありませんでしたが、引っ張り出した図面の横に鉛筆で修正箇所の走り書き(ラフスケッチですね)を書き加えて、再び図面を棚に戻しました。
そして、それからさらに半年…
僕に姪っこができました。
このとき、僕が出産祝いに作って贈ったのが半年前に書き直したラフスケッチを図面におこして作った「ラトルのジョーイ」だったんです。
このラトルのジョーイを作る時、まあ、うるさかったのが成り立てほやほやのおじいちゃん、おばあちゃん(僕にとっては父と母)、そして新米ママ(姉)です。
やれココは丈夫なのか!
やれココは抜けないのか!
やれこうしろああしろ…
もう、使う対象が可愛い我が子(孫)、もしなんかあったら許さんぞ!!
そんなプレッシャーがもう…すごい!!
話がちょっとずれますが、
僕が作る木のおもちゃはよく「ここまで手をかけるなんて、他のおもちゃと比べてあまりにオーバースペックなんじゃない?」って言われます。
でもね、オーバースペックにもなります!本当に「安心」って言えるようでないと使い手(姪っこ)の前まで持っていくことすらかなわないんですから…!!
この初めての木のおもちゃ作り「対象が小さい子供向け、赤ちゃん向け」ということで、他のモノ作りには無い…家具作りには無い苦労(どちらかというと気苦労?)がたくさんありました。もう、こんなバック(おじいちゃん、おばあちゃん、おかあさん、その他姪っこを愛する大勢)の声のうるさいモノ作りは初めてでした。ああ!うるさい!!めんどーくさーい!!!
やっとこさつくり終えた時はそんな気分でしたね…(苦笑)
もう、子供向けのおもちゃなんかコリゴリだぜぃ!!そんなヨコシマな気分だったんです、
…が… ! 見てしまったんです…
この姪っこのあーちゃんがね…
まだ生まれて3ヶ月、モノ持つ手もおぼつかないくせに、一生懸命ラトルのジョーイ振り回して遊んでいるんですよ。なかなかうまく鳴らせないけど、音が鳴ったとき、とっても嬉しそうな顔してるんですよ…!!!
そんなの見たらねぇ…
「よっしゃ!まってろ!!おじちゃんがもっといいモノ作っちゃる!!!」 ((゚д゚;))))えー!
そんな気になりますよ!そんな気になりますよ!!
(単純だな…自分…)
そんなワケで…僕の工房のおもちゃ作りは始まったわけです。
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